朝は、目が覚めてから外へ向かうまで、あっという間に過ぎていきます。
そんな朝を、すこしだけ変えたいと思ったなら。
湯を沸かし、一杯のお茶を淹れてみませんか。
急須に茶葉を入れ、湯を注ぎ、少し待つ。
湯気を眺めているあいだは、次の予定からほんの少し離れられるような気がします。
どの湯呑を使おうかと棚に手を伸ばすことも、その日の朝の気分をそっと確かめるような行為になるかもしれません。いつもの器がしっくりくる日もあれば、少し違うものを選びたくなる日もあるでしょう。
特別な道具や、ゆっくり過ごせる朝が必要なわけではありません。急須と茶葉を手の届く場所に置いておいて、その日に使いたい湯呑を選ぶ。できる日に、できることを一つ足すだけで、朝の動きに静かな余白が生まれます。
二、三分しかない朝なら、湯気に目を向けてから一口飲むだけでもいいのかもしれません。飲み終えた器を洗うところまで急がずに済ませられたら、それも小さな心地よさとして残ります。
一杯のお茶は、立派な朝食や整った部屋がなくても始められます。湯が沸くのを待ち、淹れたお茶を一口飲む。そんな数分があると、慌ただしい一日の前にも、自分のための時間が少し残ります。
急須のある朝が、いつもの朝をすこしだけ好きにしてくれるかもしれません。

